ドクター解説 腎臓病専門医による食事療養の重要性

福岡赤十字病院 腎臓内科/医学博士 満生 浩司 福岡赤十字病院 腎臓内科/医学博士 満生 浩司

昭和40年4月17日生まれ。平成2年に九州大学医学部を卒業し、同年に九州大学病院第2内科入局。
平成4年に九州大学病院第2内科腎臓研究室配属、腎疾患治療部医員に。
平成19年医学博士取得。平成23年に福岡赤十字病院血液浄化療法内科部長に、そして現在に至る。
日本内科学会 認定内科医。日本腎臓学会専門医・指導医・評議員。

腎臓病 専門医インタビュー

一度壊れると、修復できない「腎臓」。だからこそ、機能を守る治療を早期に始めましょう。

 腎臓は、様々な細胞が集まってできた複雑な構造をした臓器です。
老廃物を尿として排出し、体液の量や成分を一定に保ち、血圧や造血を調整するなど、その働きは多岐にわたっています。なので一旦壊れて機能が損なわれると、二度と修復できないほど、腎臓は繊細な臓器なのです。
それゆえ、壊さないように保護することがとても重要です。
患者さんに「どうしたら腎臓が元通りに治りますか?」とよく質問をいただくのですが、残念ながら壊れた腎臓を元通りに戻すことは難しい。壊れてしまったら、壊れていない部分になるべく負荷を与えず、機能を守るしかないのです。そのためには、できる限り早く治療を始めることが大切です。

「食習慣=食事のくせ」を変えることが腎臓に負荷をかけない最善の治療です。

 腎臓の働きが低下する最大の原因は、生活習慣にあります。
特に、食習慣は腎臓病に深く関与しているため、腎臓病の治療で一番の基礎になるのは食習慣の改善です。
薬による治療もありますが、やはり「食習慣の改善」は薬物療法をしのぐ効果が期待できます。
 そこで、食習慣の改善でポイントとなるのが、「味」と「量」です。濃い味が好き、食べる量が多い。
このどちらも小さい時から染みついている「食事のくせ」なんですよね。この「くせ」を修正するのは、なかなか難しいこと。また、「塩分は1日6g、タンパク質は1日40g」と言っても、どれくらいかイメージが湧きませんよね。
だから、私が患者の方によく言っているのが、「『大衆食堂』の食べ方ではなく、『高級料亭』の食べ方をしましょう」ということです。例えば、アジの塩焼きでも、大衆食堂は丸ごと1匹が出てきますが、高級料亭は切り身が上品に出てくる。フルーツも丸ごと1個ではなく、カットした物を少しだけ。このちょっとした食べ方の違いが、腎臓への負担を減らすことにつながります。

「食事のくせ」を改善することは、ご家族の将来の健康にも役立ちます。

 「食べて良い食材、食べてはいけない食材は何ですか」と、患者様からよく聞かれます。
でも、実は何を食べても良いのです。要は、「味」「量」、そして「バランス」。というのも、腎臓病食で制限されるタンパク質や塩分は、どの食材にも多少なりとも含まれています。その量を、味付けに気をつけて、少しずつバランス良く摂ることが食事療法のポイントです。
 食習慣の改善は、患者さんお一人で抱えること、と思われがちですが、ご家族みんなの健康にも関わるんですよ。先ほど食習慣は「食事のくせ」とお話しましたが、同じ食卓を囲んでいるご家族も濃い味付けや量の多い食事に慣れてしまうと、いつかは患者さんと同じように腎臓に支障をきたしたり、生活習慣病になるかもしれません。つまり、次の世代となるご家族の健康を考えるという意味でも、食習慣の改善を始めてみましょう。

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